国立オペラ・カンパニー 青いサカナ団





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◆ 青いサカナ団 創立15周年記念演奏会
  /The15th.anniversary of L'Opera du Poisson Bleu

2004年9月2日 於・なかのZERO大ホール

指揮;神田慶一
ソプラノ:菊地美奈
ピアノ:相田久美子
演奏:Orchestre du Poisson Bleu(青いサカナ管弦楽団)

演奏曲目;

ラヴェル/ピアノ協奏曲 ト長調 M.Ravel / Concerto pour piano et orchestre en sol majeur
R.シュトラウス/最後の4つの歌 R.Strauss / Vier Letzte Lieder
マーラー/交響曲 第1番 ニ長調『巨人』 G.Mahler / Symphonie 1 " Titan"

池田卓夫/日本経済新聞社文化部編集委員


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 青いサカナ団もこの2004年で創立15周年を迎えました。光陰矢の如し。まさに「瞬く間に過ぎ去った」15年でもありましたが、同時に舞台芸術を愛し、その未来に夢を馳せるていた「青い臭い」若者達のほんの小さなグループが辿って来た道程を思い返すと、かなり遠くまで歩いて来た様な気がする15年でもあります。もちろんその道のりはまだ中途に過ぎず、明日からも決して安楽ではない道が目の前にひたすら続いてはおりますが、有り難い事に、そこに間違いなく「道」は存在しており、それがどの様な道であろうとも恐れず、怯まず、ただただ進んでいきたいと考えている今日この頃、この節目の時なのです。

 さてその節目に青いサカナ団が選んだ演目は、オペラ団にあるまじき選定で、いきなりコンサートプログラムでした。しかもマーラー、R.シュトラウス、ラヴェルといった重厚なセレクションです。

 節目の公演にオペラを選ばなかったのには理由があります。(このホームページ上でそれまでのサカナ団の歩みを読んで頂ければ少しはご理解して頂けると思いますが)03年から04年に『桜の樹』と『あさくさ天使』を立て続けに創作・上演し、これがサカナ団にとって確実な節目になり、ターニングポイントになった感触がありました。それは「やり遂げた」という類いの事でなく、一つの時代が終焉を迎え、新たな時代の局面が自分達を待っている感触です。その手触りがあまりにリアルで核心的であった為に、すぐに(新たな創作はもちろん無理ですが)スタンダードに向かう気持ちすら起こらなくなっていたのが正直な気持ちなのです。

 そこでこの節目の時を祝う最もふさわしい演目を探していた時に思いついたのが、サカナ団の言わば"背骨"(あるいは"屋台骨")にあたるオーケストラの存在でした。いつもオーケストラピットの狭い暗闇の中で、実に素晴らしい仕事をし続けてくれた愛すべき仲間達と共に15周年を祝える出し物を考える事が、この時に最もふさわしいものと思えた訳です。

 サカナ団のオーケストラがシンフォニーを奏する事に、そしてそれ以上にオペラ指揮者としての経験のみを修練させて来た神田慶一という指揮者がシンフォニーを振る事に、その結果を含め賛否両論あることは否定できませんし、それを真摯に受け止めてもいます。長年サカナ団のコレペティトゥール(稽古ピアニスト)を務めてくれている相田久美子と、サカナ団のプリマとして様々な演目で素晴らしい成果をもたらしてくれた菊地美奈をソリストに迎えたこの演奏会は節目の年を祝うのにふさわしい公演であったと自負しています。またオーケストラにとっても神田自身にとっても、今回の経験は今後の音楽活動に実に多くの教訓と経験を与えてくれました。必ず今回の演奏会で得た多くの財産は今後の活動に活かされるものだと思います。

 何よりもクラシック音楽の領域において、オペラとシンフォニーは大きな両輪であり、その両輪を経験するのと、しないのとでは本当に大きな違いがある事を実感しました。その違いとそれぞれの喜びを知った事が今回一番の収穫であり、そのどちらにも共通している"純粋音芸術"に対しての意識を強く持った事でも貴重な演奏会となりました。願わくは、お客様達も喜んで会場を後にして頂けたなら嬉しい限りです。この場を借りて、この演奏会の実現にご尽力頂いた多くの方々、各企業の方々に感謝の気持ちを伝えたいと思います。

 さあ、そして05年に向けて、新たなサカナ団が始動し始めるのです!

絵:神田慶一


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