国立オペラ・カンパニー 青いサカナ団





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◆第22回公演 歌劇 『蝶々夫人』
   /Madama Butterfly
2002年10月4日 於・なかのZERO大ホール

作曲;G.プッチーニ
指揮;神田慶一
演出;神田慶一&八木清市

Cast :
蝶々夫人/羽山弘子  ピンカートン/田代 誠  シャープレス/米谷毅彦  スズキ/森永朝子
ゴロー/羽山晃生  ボンゾ/岸本 力  ヤマドリ/宮本哲朗  ケイト/山下のぶ子



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 新しいベクトルを獲得したサカナ団がお馴染みの『ラ・ボエーム』に続いて上演したのは、プッチーニを敬愛するこの団が、それまでに何度も上演を目指し、そして諦めて(あるいは避け続けて)来た"超"有名なオペラ作品、『蝶々夫人』です。何故、サカナ団はこの演目を手掛けないのか、とそれまでにも内外から声が上がっていた事は事実なのですが、本当に敢えて拒否し続けて来たのです。

 それはこの作品があまりに「知られ過ぎている」からであり(すなわちサカナ団風の"料理"の仕方が思い浮かばなかったからであり)、同時にそれまでの公演で、あまりに大柄で年季の入った「蝶々さん」ばかりを見て来た事への嫌悪感でもありました。何しろ作品の設定で言えば、儚く美しい15歳の少女がアメリカ人の妻になり、17歳で母となり、絶望しながら自殺する話のはずですが、その物語をおよそ想像できない様なキャスティングばかりを目の当たりにするうちに、次第にこの作品自体への興味も無くしてしまったのです。正確に言えば、この原作ドラマが持っている各々のキャラクター設定が不可能な程に、プッチーニの遺した楽譜は困難極まりない音楽を要求しているのです。

 もしも儚く美しい15歳の少女が性悪のアメリカ人に騙される設定に"見える"キャスティングが実現するのならやってみよう、と常々思っていたところに、歌手の宝庫(大型倉庫とも言える)二期会さんが快く協力を引き受けてくれた事から、青いサカナ団の念願の『蝶々夫人』が実現する事となったのです。

 この私達の母国、日本を舞台にしつつ、イタリア人の大作曲家プッチーニが遺した曲と言えば、日本人作家としての使命感、やりがいは嫌が上にも盛り上がるものですが、この公演ではその意欲、狙いがものの見事に実現されたものだと自負しています。本公演の様に、見た目も(ビジュアル重視のサカナ団としては当然の事ですが)加えて力量も申し分の無いキャストを手中にすれば、失敗はもはや許されないこと。サカナ団風に、この日本を舞台にした有名な物語を一種の寓話(ファンタジー)として捉え、様々な対立の図式(滅び行く世紀と新しい世紀、または日本とアメリカ、または男と女、あるいは個人と家族、さらには「ここにしか残れない人間」と「ここには留まれない人間」)を明確に表明したこの上演プロットは、自信を持って数々ある『蝶々夫人』上演の歴史の中で、特筆すべき成果をもたらしたものだと思っているのです。

写真:長谷川清徳

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